Based on a real story  - 邦画編 ⑥ -

実際発生した凶悪殺人事件をモチーフにして作られた国内映画 第6弾
「事実は小説より奇なり」



20年前の1995年1月阪神淡路大震災の未曾有の大災害でダメージを受けた日本に、2ヵ月後の3月20日に更なる衝撃が襲う。世界にも大きな衝撃を与えたオウム真理教が起こす神経ガスのサリンを使用した同時多発テロ、地下鉄サリン事件。この事件発生からさかのぼる9ヶ月前の1994年6月27日、長野県松本市で、猛毒のサリンが散布された松本サリン事件。
死者8人・重軽傷者660人を出し、第一通報者の河野義行氏に対する冤罪・報道被害事件の実態を素材に描いた「日本の黒い夏 冤罪」
長野県出身の熊井啓監督は、幼少の頃に河野家に出入りしていた経験から河野家の家風をよく知っており、また熊井作品(「真昼の暗闇」「黒部の太陽」「日本列島」「日本の暑い日々 謀殺下山事件」「ひかりごけ」などがある)での取材経験より、犯行は極めて専門的な知識が必要であり、確たる証拠がないまま自白の強要に追い込む警察の捜査手法など含めて、当初からマスコミ報道に疑問を感じていたという。
まだ記憶に新しい松本サリン事件。これは戦後のことではない。ほんの20年前の警察において、極めてずさんで強引な取調の実態とマスコミの誤報による過熱取材がもたらした事件を描く。単長にならず切れ味鋭く、さすが熊井啓監督作品だと感じられる。サリンの発生源を検証するシーンで使われた池周辺や軒下の撮影は、実際の河野家の自宅敷地内で行われた。
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GHQの強大な権力の下で暗躍する謀略機関の不気味さと、それに翻弄され、虫けらのように殺されていく人々の姿が描かれている。戦中、陸軍登戸研究所で偽札作りの背後に謎の謀略機関が蠢いている事件を中軸に、戦後の混乱期に実際に起こった謎の下山・松川・三鷹事件、いわゆる国鉄三大ミステリー事件やBOACスチュワーデス殺人事件等、戦後の混乱期に実際に起こった事件が盛り込まれている。謎の組織にとって邪魔な人間は悉く消されていく。火に焼かれてい蟻群の姿は実に印象深いオープニングシーンである。彼らにとって人間の命はこの虫けら共と同じ重さでしかないのだと言わんばかりである。
「帝銀事件 死刑囚」で監督デビューを果たした熊井啓監督が翌年1965年に撮った作品で、巨大な権力に押し潰される様を描いた「日本列島」
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1974年千葉県市原市にて両親は裕福な自営業、千葉県内の最難関高校を卒業した息子が、風俗店勤務女性との結婚を反対されたことに激怒し、登山ナイフで両親を刺殺。遺体を浴槽に隠すなどで、殺人及び死体遺棄容疑で逮捕された市原両親殺害事件をベースにした「青春の殺人者」。
撮影は舞台となった市原市などを中心に全編ロケ。ゲリラ的撮影が多く、スナックに火を付けて燃やすラストシーンも許可を取らずに一発撮り。周囲に集まる消防車も本物ということだ。主演の水谷豊をはじめ監督もノーギャラで、当初本作の上映は日本中で4館だけだったという。青年期に誰もが抱くであろう親への嫌悪感や対立心と、屈折した両親の庇護の元、親の支配から逃れたい自立願望と重なって起こす親殺し。溶岩のようにドロドロと停滞した熱さの70年代と冷え冷えと荒涼とした熱量の現在との時代性を上手く描いた佳作。
イチジクは本当にあったのだろうか?
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人の弱みにつけこんで監禁をして金を巻き上げ、拷問と虐待によってマインドコントロール下に置き、互いの不満をぶつけさせることにより相互不信を起こして逆らえなくした上、被害者家族同士で虐待をさせることで相互不信を一層深くさせていく。加害者自身の手は汚さず、用済みとなった人間を殺害して死体処理を行わせた(裁判では6人の殺害と1人の傷害致死)日本犯罪史上稀に見る凶悪犯罪とされる事件。鬼畜の所業と非難され2011年12月主犯松永太の死刑と共犯緒方純子の無期懲役が確定する。非常な残虐性・悪質性にもかかわらず、事件に報道規制がかけられたとされる。報道量が少なくなった理由としては「あまりにも残酷な事件内容のため表現方法が極めて難しいこと」などがあるとされる北九州監禁殺人事件。
この壮絶な事件を題材にするのは難しいだろうなぁと個人的にはずっと思っていたが、西島秀俊、竹内結子、香川照之らのキャストで見事ギリギリ映画としてのメッセージ性、娯楽性を保ちつつ、残酷性を描いた映画「クリーピー」
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by hello-rains | 2016-11-29 00:20 | 映画・書籍など | Comments(0)
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