Based on a real story  - 邦画編 ③ -

凶悪殺人事件をモチーフにして作られた国内映画 第3弾
「事実は小説より奇なり」


この映画はフィクションであるとされてはいる。しかしながら実際に人身売買が行われ、年端もいかない少女や少年が売春宿で働かされているのは事実であり、日本からそう遠くない国で、考えられないような過酷な人生を歩んでいる子供たちの姿を描く「闇の子供たち」。幼児人身売買・売買春の実態に迫っていく目を背けたくなるような現実を、阪本順治監督が鋭く描く作品。
被害者がいる中で、加害者の中に日本人がいることも現実である。映画に取材協力した大阪大学医学部は「タイで日本人が心臓移植を受けた例はない」としているが、日本ユニセフがウェブサイトで「現実を映し出している」「内容はドキュメンタリーと同じ」と表現している点から興味深い作品。現地を知る人にとってこの映画は現実だと言える。こういう現実があるということを知らされる作品。
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カトリックの家庭に生まれ、前科4犯の西口彰は1963年10月に2人を殺害し、その後1964年に逮捕されるまで逃亡を続け、大学教授や弁護士などを騙って計5人を殺害し、計80万円を詐取した。弁護士を装って教戒師宅に押し入るが、当時11歳の娘が見抜き、通報することにより逮捕につながる。警察の要職を歴任した高松敬治氏は「全国の警察は、西口逮捕のために懸命な捜査を続けたが、結果的には全国12万人余の警察官の目は幼い一人の少女の目に及ばなかった」と語る西口事件をモデルにした「復讐するは我にあり」
少女のついての諸々は映画内には演出されていない。後期の緒形拳は満面の笑みの印象が強いが、若い頃の角ばった顔にギラギラした目、最近にはいない空気を纏う日本を代表する俳優だったと感じる。
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死刑囚で元暴力団組長が保険金を目的に自殺に見せかけたカーテン屋店主殺人事件を含む保険金殺人、死体遺棄、死体損壊など、その時点で公に公表されていなかった事件について、自身の関与を認めながらも、塀の外でのうのうと社会生活を送っている現実が許せないと「先生」と呼び慕っていた首謀者の存在を獄中から「上申書提出」という形で激白する。これきっかけに警察は多くの連続殺人事件の再捜査に着手し、首謀者逮捕に至る茨城上申書殺人事件に基づいて作られた映画「凶悪」
死刑囚をピエール瀧、先生と呼ばれる不動産ブローカーの首謀者をリリーフランキー、スクープ雑誌「新潮45」宮本太一氏をモデルにした編集記者を山田孝之が演じる。笑顔を忘れた記者と絶えず笑う犯人。正義と悪がいつの間にか逆転しているような、見応えのある力作である。
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補足:第二次ベビーブームだった高度経済成長期に多発し、社会問題とまでなった赤ちゃん取り違え。実際に沖縄県で42年前に起こった赤ちゃん取り違え事件。25年間取材し続けたノンフィクション「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年」(文春文庫刊)を参考文献とする、ほぼ同時期に映画公開された「そして父になる」では、また冷酷な不動産ブローカー役を演じたリリー・フランキーは、一転暖かな家庭の父親役を演じ、その演技の振れ幅に驚かされる。
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by hello-rains | 2014-11-30 23:23 | 映画・書籍など | Comments(0)
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